2013年9月24日火曜日

現代医療考察

なかなか興味深い記事を見つけましたので、ご紹介いたします。
ヤフーニュースからの転載になります。 原文はコチラ



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薬漬け:現代医療の「サイド・エフェクト」

西多 昌規 | 精神科医/医学博士/自治医科大学・講師



 

「薬を出すしか能がない」

どの診療科においても、薬の処方に関する基本的な原則は、
「薬の種類はなるべく少なく」
「効果のない薬剤は減らして中止に持ち込む」
というものです。多くの薬剤をカクテルや七味のように用いる「他剤併用」は、治療効果が低いとして戒められているのが、現代の精神医学の流れです。
しかし、精神科医に対しては
「薬を出すしか能がない」
「次々と新しい薬を出してくる」
「薬をなかなか減らしてくれない」
という批判があるのも事実です。わたし自身も、「こういう批判があるのも仕方がない」という認識を持っています。
理由は、二つあります。一つには、薬物療法の技量が疑われる一部の精神科医の存在です。初診からいきなり多種類の薬剤を大量に用いる、あるいはどんどん薬剤の種類が増える一方、などです。飲んでいる薬を減量・整理することから治療が始まるケースも珍しくありません。減量しただけで状態が良くなったという人も、実際には存在します。
二つ目の理由として、製薬会社によるキャンペーンに、医師が無批判に従っていることが挙げられます。「疾患喧伝」「病気の押し売り」(disease mongering)とは、病気と言うほどではない心身の不調を指して、「病気だから大変だ」と騒ぎ立て、「医者にかかったほうがいい」「治療しないと危険だ」だのと、やかましく説いてまわることをいいます。
製薬会社が医師、ひいては患者に与える影響力を知る材料として、一本の映画をご紹介します。スティーヴン・ソダーバーグ監督による「サイド・エフェクト(Side Effects)」です。

映画で見る製薬会社の影響力

2013年9月21日現在上映中であるため、ストーリーの詳細を書くことは控えます。この映画は、新型抗うつ薬・アブリクサの治験者として参加しているエミリー(ルーニー・マーラ)が主人公です。自殺未遂や睡眠時随伴症状などエミリーが苦しむ副作用が、この映画のミステリーを説く一つの伏線です。
興味深いのは、精神科医の関与です。もう一人の主役格である精神科医ジョナサン(ジュード・ロウ)はエミリーの主治医ですが、新薬アブリクサの治験にエミリーを登録することによって、多額の報酬を得ています。さらに製薬会社と深い関係を持つエミリーの元主治医ヴィクトリア(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)の存在が、事件を複雑にします。
製薬会社と医師という視点で見れば、ジョナサンは製薬会社の手先、いわゆる「御用医者」と言えるかもしれません。ジョナサンは教育費のかかる長男がいるので、製薬会社からの報酬は甘い誘惑です。

新薬がうつ病を増やす?

厚生労働省の「患者調査」によれば,「うつ病・躁うつ病」の総患者数は,1996年に43.3万にすぎなかったのが、2008年には104.1万と、2倍以上の増加を示しています。抗うつ剤の市場規模は。1998年の145億円から2006年には870億円に膨れ上がっています。
うつ病患者の増加は、DSMなど操作的診断基準の普及もありますが、選択的セロトニン再取り込阻害剤(SSRI)が日本に上市されたことも大きな影響を与えたことは否定できません。
精神科医の冨高辰一郎先生も、著書の中で、1999年以降のうつ病増加について、次のように考察しています。
{{{ 私は単なる思いつきでSSRI が導入されるとうつ病患者が増えると指摘したわけではない。実はSSRIが市場導入されると、うつ病患者やメンタル休職者が爆発的に増加するという現象は、日本以外の先進国で繰り返されてきた社会現象なのである。他の先進国よりSSRI導入が約10年遅れた日本で、今同じ現象が起きている、と伝えたいだけなのである。  SSRIの発売は、抗うつ薬の選択肢が一つ増えるだけでは終わらない。SSRIの発売は、どの先進国においても、うつ病患者の急激な増加を引き起こすのである。 }}}
出典:「なぜうつ病の人が増えたのか」(幻冬舎ルネッサンス)

今後も、新規の向精神薬の発売は続いていくでしょう。1999年から14年経過した現代では、うつ病の薬剤性増加も頭打ちになってきているのかもしれません。ただ、別種の問題が生じてきています。それは、新薬の「データの信憑性」という問題です。
わたしのところにも、医薬情報担当者(medical representative)の方が、薬剤の情報提供としてさまざまなパンフレットを持ってきては、有効性を示した様々な論文データを紹介してくれます。
しかし、データが捏造されていた降圧薬「バルサルタン事件」で、日本の臨床研究データの信頼性は大きく失墜しました。疑惑は降圧薬だけではないと思うのは、仕方のないことでしょう。患者さんが心配するのももちろんですが医師のほうも、「このデータは信頼できるのか」と、疑念が生じるのも当然でしょう。逆に言えば、疑念もなくコマーシャル通りにバンバン薬を使ってしまったのも、「薬漬け」の要因です。
データを読み取る能力が医師にあることが求められますが、実際には「権威ある論文から」「○×教授監修」という裏付けに、頼ることになります。しかし、製薬会社のパンフレットに、長年にわたって頻回に顔出しで登場する医師は「御用医者」と疑い、客観的に自分の目でデータを見る能力が必要になります。

「薬漬け」:医療側からの弁解

「薬ばかり処方して」
という批判に医療側から言い訳をするならば、「薄利多売」の精神科医療の問題が挙げられます。
精神科の医療報酬、特に外来では「通院精神療法」が重要な報酬源です。30分以上は400点、30分未満は330点です(1点=10円)。これで言えることは、「たくさんの患者を診た方が儲かる」「ていねいにじっくり診るともうからない」という、単純な法則です。
一人にじっくりと時間をかけて、生活指導を行ったり家庭背景などを聞いていたりする時間的・経営的余裕がないわけです。開業医ならば、経費によっても異なるでしょうが、診察患者数は経営に直結してきます。勤務医ならば、一人の話をじっくり聞けば、患者さんの待ち時間が増えてしまい、疲弊するだけでなく患者さんからクレームが来るでしょう。
わたし自身も、外来患者数が半日で50人近い日には、「薬で早くオチをつけよう」という悪魔の声がしないわけでもありません。精神科医の一部の論客には、「心理療法」を重視しようという提言もありますが、5分だけでも330点と40分だの60分かかっても400点では、短時間で済ませる治療のほうが経営上は明らかに効率的です。「薬を使わない治療法」は理想的なのでしょうが、青臭い「机上の空論」という批判の声があるのも、日本の保険診療を考慮すると仕方のないことかもしれません。

「とりあえず薬」「薬は飲むな」極論からの脱却はあるのか

反医学・反薬剤・反精神医学を断定調に叫ぶ書籍が、ベストセラーになっています。「とにかく医者へ」「とりあえず薬」のアンチテーゼでしょうが、適切な医療を受けるべき人が断定本を誤って信じ込み、不幸な結果に終わる例も実際には存在します。
ただ、製薬会社をすべて悪と決めつけるのも、極論です。病気の克服に情熱を注いでいる研究者の存在も忘れてはいけません。高い企業理念に基づいて、開発から販売を進めている製薬会社もあるはずです。また、精神医療における薬剤は、多くの患者を救ってきたのも事実です。わたしも、薬剤がなければまともな診療はできないと考えています。特に統合失調症の治療に関しては、薬による治療はもっとも重要度が高いことに変わりはありません。
しかし、「抗うつ薬」「睡眠薬」の過剰処方は、無視はできない問題です。映画「サイド・エフェクト」に見られるような、副作用の問題が生じているのも事実です。
医療側でも他剤併用・濫用の反省から、「薬漬け」にならないルール作りが行われるようになりました。過剰処方の傾向がやはり強い睡眠薬に関しては、厚生労働省が先導して「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」の作成を進めています。将来は抗うつ薬についても、同じようなガイドラインを作ることが必要になるかもしれません。
極論からの脱却に対して明解な答えは準備できません。ただ「薬漬け」の責任が処方を実際に行ってきた精神科医にあるのは、事実です。自戒としては、製薬会社からのコマーシャルを鵜呑みにせず、権威ある「御用医者」の意見を疑って、薬剤に対する知識を謙虚に高めていくしかないのではないでしょうか。患者さんのほうでは、多種他剤を次々と処方していく精神科医を選別する必要があると思います。






2013年9月19日木曜日

女心と秋の空

先週の3連休は皆さんいかがお過ごしでしたでしょうか?

暑さもピークを過ぎたとはいえ、30℃をこえるムシムシした天気の中、
最終日にかけ台風18号が猛威を振るい、各地で大きな被害が出ました。




当地においても風こそそこまで強くはなかったものの、
月曜午前中の大雨で近隣の田川が警戒水域まで上昇し、
氾濫一歩手前の危うい状態にまでなりました後で川べりを通ったら、ほんとに堤防ギリギリのところまで水の跡がありました





高速道路も塩尻IC手前の法面が崩れ終日通行止めとなり、
連休で観光をしていた方々の帰宅の足を直撃しました。
台風18号進路


そういえばおととしの三連休も2つの台風が列島を縦断し、
当時バイクで東北一周を目指していたところ、あきらめて北海道に逃げた記憶があります。

この時期は台風が頻発するので、何かと遠出の計画に影響しますね。





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一転台風が去ってからは気温も下がり、澄み渡る秋の快晴が続いています。
そして今夜は仲秋の名月を満月で見ることができそうです。

松本城でも9/15~9/20まで月見のイベントが開催されていて、
雅楽やフルートの演奏を聴きながら松本城と満月を楽しむことができます。







秋の夜長を風流に過ごすのもまた一興ですね。
(大輪 武司)



2013年9月10日火曜日

敵、山と思わば、海としかけ、海と思わば、山としかくる心、兵法の道也

二天一流の開祖、宮本武蔵の言葉です。
剣豪で有名な宮本武蔵ですが、
晩年にかけて自身の剣技や思想についてをまとめた『五輪書』を執筆しています。



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・・・さて、聡明な皆様であれば察しがつくと思いますが、
まずは2020年オリンピック東京開催おめでとうございます。
念願かなっての東京開催となり、関係各位大いに盛り上がっている事でしょう。

子供たちにトップアスリートの競技を身近に感じさせ、スポーツ振興を推進するとともに、
関係企業の株価も上がり、公共工事や観光収入による経済効果も期待でき、消費税増税も捗ります。



かつて長野で冬季オリンピックが行われた時、
当地においても、道路や空港などのインフラの整備が進み、
今もその恩恵も受けています税金が上がるとか騒がれて今したが、当時は納税してないので詳細は不明ですが・・・
当時ちょうど大学受験と重なり、実際の競技を見ることはありませんでしたが、
熱気や雰囲気を存分に味わった記憶があります。


2020年の東京開催を受け、多くの人が「開催されるときは○○才か~」と考えたと思われます。
7年後は遠い先のようであり、近いような気もします。
オリンピック開催の光と闇はあるかもしれませんが、まずは7年後に世界に誇れるオリンピックを開催できることを信じ、今出来る事を頑張りたいと思います。



豊洲周辺=ネオ東京?



ちなみに、『オリンピック=五輪』の翻訳は前述の『五輪書』からの由来だそうです。
理由は新聞記事に載せる時、文字数が省略できるからだとか・・・
何かの折オリンピックが話題になりがちな昨今、トリビアとしてご活用ください。
(大輪 武司)



2013年9月7日土曜日

心機一転

ちょっとブログのデザイン変えてみました。
以前より見づらいですかね・・・?(汗

新規項目のタグ付けをしていたんですが、
いつの間にか1年と1か月、111投稿してました。


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なんとか続けておりますが、ひとえに皆様の反響あってこそです。
これからもちょこちょこぼやいていきますので、ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。
(大輪 武司)


2013年9月5日木曜日

平成25年度 塩尻市民総合防災訓練

先日の9/1(日)は防災の日でした。

10万人以上の死者を出した関東大震災から、ちょうど90年と節目の年になります。
当時松本でも大きな揺れがあり、庭の木にしがみついて凌いだ。
という話を、昔祖父から聞いた記憶が思い出されます。

と言うわけで各地で防災訓練が行われたことかと思われますが、
去年に引き続き今年も塩尻市の防災訓練に参加してきましたので、ご報告を。



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今年は塩尻市の宗賀地区を中心とし、メインの会場は塩尻西部中学校となりました。
周りは名産のブドウ畑だらけで、時期柄ブドウの香りが立ち込めていますワインになるのが待ち遠しい・・・

まずは自衛隊車両を用いたり、区長さん先導の元、住民避難訓練が開始されます。
各地域から中学校のグラウンドに続々と避難してきます
それと並行し、医療関係者による救護所開設訓練が体育館内で行われます。
医療救護所の隣で情報を集約、掲示します。
時系列に沿って手書きで更新されていきます。
 
救護用リュックの中身を点検・確認します
たまに期限が切れているものもあるのでリストアップします。
災害時に役立つ品々を展示してあります。
食料品のほかパーテンションや仮設トイレなどがあります。
 
 
 
住民避難訓練が完了し、体育館内に皆さんが集合されると、
災害時の啓発活動が各団体から行われます。

手前が住民の皆さん。奥は市職員や消防団などの方々が集まっています。
医師会からはトリアージについてのDVD放映。
歯科医師会からは災害時歯科医療の説明や歯ブラシ携帯の啓蒙。
薬剤師会からは災害時におけるお薬手帳の必要性、重要性について←ここ数年自分が担当しています
自衛隊からはこれまでの災害時活動報告。
などが発表されました。皆さん神妙な面持ちで聞いていらっしゃいました。


午前中いっぱいで塩尻市の訓練は終わりとなりました。
松本市の夜間急病センターも、災害時の救護拠点の一つとなっているので、
当日は放射能汚染を想定したヨウ素剤の配布訓練や行われたようです。


現在中信地区の五市三村で形成される松本広域圏で防災マニュアルを策定する動きがあり、
来年以降はそういった要素も関わる可能性もあります。
広域にわたる災害や災害時の連携などを考えると、
単独自治体で実施するより確かに効果的な気もします。

被災地の経験を活かしどんどんブラッシュアップし、きたるべき日への備えになれば、と思います。

(大輪 武司)



2013年9月3日火曜日

Wasp bee attack

7~10月は蜂の攻撃性が高まる時期です。

実際ダイリンにおいても夜間急病センターにおいても、老若男女問わず
「蜂に刺された」と言う人をチラホラ見かけます。

田舎だから・・・
と言うのもあるかもしれませんが、
アシナバチやスズメバチは住宅地でも見かける事が多いので注意が必要です。


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ある資料によると、毎年20~40人くらいがハチに刺されて亡くなっています。
そのうちの70%がスズメバチとアシナガバチによるもので、油断はできません。


蜂に刺されて一番怖いのが「アナフィラキシーショック」です。
最近はマスコミなどでの周知も進み、認知度が高まりました。

それではどんな症状なのか?と言うと・・・

・じんましん、全身が赤くなる→痒み、熱感
・唇や舌が腫れる→呼吸困難
・喘息症状→呼吸困難
・血管性浮腫→血圧低下、意識消失(ショック状態

こういった症状が、刺されてから数分~30分以内にあらわれ、死に至る場合もあります。


症状がすぐに現れるため、逆に言えば1時間ほど何ともなければひとまずは安心です。
(遅発反応で、刺された次の日から10日くらいで起きることもあるので、じんましん
や消化器症状などが出てきたらすぐに受診しましょう)

後は刺された患部の治療を行いましょう。

・患部におしっこ→NG(アンモニアは効果ありません)
・口で毒を吸い出す→NG(蜂毒は水に溶けやすいので口から全身に毒が回ります)

針が残っていたら抜き、流水で流しながら指で毒を絞り出すと効果的だそうです。


また、蜂に刺されないようにする為には・・・
・手でふり払わない:蜂が攻撃されていると認識し、より攻撃的になります。
・急な動作をしない:ゆっくりと、しゃがんだりして低い体勢をしましょう
・黒い服を着ない:蜂は紫外線のコントラストで見ています。黒い部分は狙われます。

ただし、攻撃モードに入った状態では援軍が次々に現れる可能性がるので、
全力でその場を離れましょう。
諸行無常




これから外で遊ぶのにも気持のよい季節になってきます。
もしもの時の備えて、蜂への対処も覚えていて損はないと思いますので、参考にしてみて下さい。
(大輪 武司)