立冬を迎え各地の紅葉もピークを迎えております。
霜が降りると菜っ葉がしんなり柔らかくなるので、本格的な野沢菜漬けのシーズンが始まります。
各家庭で様々なレシピがあるそうですが、シンプルなものが一番保存性が良いと聞きます。
野沢菜漬けが酸っぱくなるのは年を超えたあたり。甘辛く油炒めなどにして余すことなく頂きます。
昔は頭が良くなると言われ、野沢菜に味の素(グルタミン酸)をかけて食べていた記憶がありますが、今も続いている家庭はあるのでしょうか?
長野県の郷土食の代表である野沢菜漬け話は尽きません。
さて、2年に一度の「調剤報酬改定」に向けた議論がいよいよ本格化してきました。
政権交代や維新との連立など、政治の動きが医療現場にどこまで影響してくるのか、注目されるところです。
依然として強い発言力を持つ財務省に加え、連立政権となった維新の方針による「社会保障費の抑制」路線は、さらに強まる様相を見せています。最低賃金が上がる一方で、私たち医療従事者の所得を支える原資の確保は、ますます難しくなりそうです。
薬局に関して言えば、後発医薬品体制加算の縮小、選定療養における自己負担の拡大、そしてOTC医薬品の普及・活用の必須化といった流れは避けられないように思えます。さらに“ダークホース”ともいえるOTC類似薬が、どの程度まで踏み込んでくるのかも気がかりなところです。
一方で、報道にもあるように、各地で病院経営の厳しさが深刻化しています。実際、給与水準の低さからスタッフがクリニックなどへ転職してしまう例も少なくないようです。
また、毎年のように引き下げられる薬価は、メーカーや卸の体力を奪い、医薬品供給の不安定化を常態化させています。
崩壊しつつある医療体制を維持するには、当然ながらコストがかかります。そのコストを誰が負担するのか――あるいは、医療の質を下げるのか、もしくは一部を「やめる」のか。どの選択をしても、どこかからは不満の声が上がるでしょう。
しかし、そうした“恨み節”を受け止め、最終的に決断するのが政治であり、その責任を負うのも政治です。
とかく「引っ込み思案」と言われがちな私たち薬剤師ですが、現場の声をしっかり政治の場に届けていく必要があるのではないでしょうか。
(大輪 武司)



