2013年6月27日木曜日

医薬品ネット販売動向

国会で正式に認められたわけではないのですが、
先の政府方針発表を皮切りに、ネットでの第一類医薬品を販売する業者が増えてきています。
先ほどどんなもんかとちらっと覗いてみましたが、

①元々実店舗を持っている薬局のWEB販売
②WEB店舗のみの薬局、薬店
③WEB店舗のみの総合店が医薬品も販売し始めた。

取扱い業者は大きくわけてこの3つのどれかです。
今後は特に規制がなければ③の業者が数を増やしていくでしょう。
やはり安売り合戦になっていますね。物が同じであれば当然の流れでしょう。
アマゾン参入の噂もあります。価格。comなどでも医薬品のコーナーができそうですね


安全担保とし管理薬剤師や会社概要、医薬品注意事項などが明記されており、
問い合わせ先(メール、電話番号メーカー、薬局)などが整備されています。

そのまま第一類医薬品を買い物カゴへ入れ、購入手続きに進むと、
その医薬品の説明文書が出てきて、
『内容に同意して購入する』のボタンが出てきます。これでお買い上げです。




気になった点として2点あります。
まず、医薬品説明文書に「この医薬品をはじめて使う人」は使用してはいけない。
と明記されていました。
が、この一文でそれを守ってくれると思う人は少ないでしょう。
現在対面販売においても、口唇ヘルペスの塗り薬や脂質異常症予防のEPA製剤なども、基本的には使用歴のある人への販売のみが認められています。
今後スイッチOTCとして医療用医薬品から第一類医薬品に降りてくる予定だった医薬品(生活習慣病の薬など)は、ネット販売解禁により医師会などからの反発をさらに強く抱き、発売は難しくなると思われます。
これはセルフメディケーション拡大による医療費の削減構想と矛盾しますね。

次に『内容に同意して購入する』ボタンです。
つまり自己責任において医薬品を使用するということでしょうか?
なんとなく販売業者の免責としての機能のように思えます。
医薬品は多かれ少なかれ副作用などのリスクを常に孕んでいます。
極端な話ではありますが、年間30人ほどの方がOTCの副作用で死亡しています。
『同意する』ボタンよりも、気軽に問い合わせ出来るような対応が望まれるのではないでしょうか?



さてさて、あまりガミガミ書いてしまうと、零細個人薬局のひがみのようになってしまうのでこの辺にしておいて・・・
まだまだWEB販売も黎明期ではあります。今後しっかりとした基準などの策定により、利用者の安全性と利便性を確保するように努める必要があると思います。
(大輪 武司)




2013年6月25日火曜日

第21回日本専門薬局同志会全国大会@広島

に参加してきました。場所は広島です片道五時間・・・
ホテルに缶詰めではありましたが、全国(海外含む)からの800名をこえる参加者と共に熱気溢れる2日間を過ごす事が出来ました。
学術的な勉強会などとは異なりますが、講演を聞いたり、
全国の方と交流する貴重な場となりました。

参議院議員の藤井もとゆき氏や日本薬剤師会会長の児玉孝氏の挨拶は、
今の薬業界のトピックである「ネット販売解禁」についてが多く語られました。
湧永製薬の湧永寛仁社長も、今まで通りの対面販売を貫く旨の説明がありました。

他にもレスリングの吉田沙保里選手と栄コーチの対談は、
目標設定とモチベーションの維持について学ぶことが多く、
栄コーチの奥様が教え子という事実も知ることができました(笑
池田清彦先生のお話も、染色体などの遺伝情報をベースとした新しい視点で見た人間社会が興味深かったです。


二日間盛りだくさんの企画でホテルを貸切り、
大盛況の大会となりましたおかげでどこにも観光できませんでしたが・・・


最年少参加者(6か月)


赤十字に寄付される血液輸送車(2台目)









帰り際、長野の部会の皆さんと広島風お好み焼きを頂いてきました。
多岐にわたる収穫はありましたが、次回広島に来るときはゆっくりバイクでしまなみ海道を堪能したいと心に誓うのでした。
(大輪 武司)

2013年6月20日木曜日

レーゾンデートル

最近調剤薬局や薬剤師にに対しての逆風が吹いています。
医薬品のネット販売解禁への舵取りから始まり、
昨今のメディアでも調剤薬局不要論や医薬分業廃止論も噴出しています。

それでは、医薬分業におけるメリットは何か?と言われた時に自分が思いつくのが、
「ベストな治療薬を選択できる」という事です。

個人医院などで院内調剤を実施すると、採算性の問題から少数の品目しか薬剤を在庫できない可能性が高いです。
そうすると「患者に適した薬」ではなく、「診療所にある薬」でしか対応できません。
これは患者においてベストな治療を損なう可能性があります。

勿論院外調剤においても、軽く1万点を超える医療用医薬品の全てを在庫しているわけではないので、薬によっては在庫していないものもあります。
その場合でも迅速に卸から薬品を取り寄せたり、薬剤師が同効薬への変更提案をしたりすることで対応致します。

他にも医療の透明化やチェック体制の強化、きめの細かいサービスや複数医療機関受診時の相互作用確認、市販薬との相互作用チェックやジェネリックへの切り替えなど、挙げ出すとキリがないですあくまで薬剤師側の視点でしかないのですが・・・


国民からの支持なくして薬剤師の未来はないのですが、
自分も含め多くの薬剤師の方は気質的に自己アピールが下手です。

・来局した患者さんに対して丁寧な応対をして接する。
・淡々と作業的なルーチンワークをこなす。
・調剤薬局内での業務改善を推進する。

など、薬局の中においては如何なく能力を発揮するのですが、
薬局の外に出て活動するのがあまり得意ではありません。
大手チェーンは最低人数で切り盛りしているので店舗に人的余裕など存在しないというのもありますが・・・



厚生労働省の提唱する健康日本21においては、
地域包括的な医療施設の一員として薬局が記載されています。
他職種との連携を密にし、専門分野を活かして地域に還元する。

そんな姿が薬剤師に求められています。


今は多くの薬局において調剤がメインの業務ではありますが、
国民からの支持がなければ調剤報酬改定において確実にマイナス改定となります。
採算が採れない薬局はつぶれ、3~4社の大手による寡占的業務となる可能性があります。

家電業界において、町の個人店から郊外型大型店、大型店からネット販売に形態が変化してきています。
薬局においても他人事ではありません。

5年後、10年後の姿がどうなっているかは中々予想しづらいですが、
地域での連携を軸に、危機感を持って研鑽していきたいと思います。
(大輪 武司)

2013年6月18日火曜日

German measles

「ドイツはしか」と呼ばれています。
風疹のことを英語ではこのように表すようです。
日本においても昔から「三日はしか」などと呼ばれていましたが、
今般の大流行ですっかりメジャーな感染症になってしまいました。
長野県でも今年に入り30人余りの感染者が報告されているそうです。
風疹ウイルス


風疹で問題となるのは妊娠初期(~10週)に感染した場合です。
先天性風疹症候群は、感染した妊婦の90%という高い確率で胎児に影響を与えます。
また、妊娠中は予防ワクチンも打てませんし、罹患した場合も効果的な治療方法はありません。

つまりいかにしてかからないようにするかの予防が重要になります。
もちろんワクチン接種が一番の方法ですが、
昨今の大流行で夏ごろには摂取制限が出されることになるようです。
自分も昨今麻疹・風疹の混合ワクチンを接種してきたのですが、
摂取制限が行われるのを知ったのがつい先日でしたので、ギリギリ間に合いました。

ちなみに風疹はインフルエンザなどと同じ飛沫感染で伝搬します。
また、潜伏期間が2~3週と比較的長いです。
ちなみに症状が出ていないうちでも伝染力はあります。
さらに不顕性感染(症状がないけど感染している)もあり、
知らないうちに感染して他人に感染させてしまうケースもあります。
日ごろからインフルエンザ同様のマスク・手洗い、うがいの徹底が望まれます。


妊娠をこれから望まれる方やその家族にはリスクの高い懸案事項です。
妊娠をされる本人でなくとも、人が多く集まる場所での予防には十分注意するようにしてください。

ワクチンについては今後も情報が更新されていくと思いますので、
厚生労働省や自治体、医療機関からのお知らせに注意するようにしましょう。


・・・余談ではありますが、
同じワクチンで子宮頸がんワクチンによる副作用でのニュースがトピックとなっています。
ワクチンによる副作用は、摂取する母数が多くなれば必然的に発現します。
今回の副作用も因果関係を解明し、発症した方へのしっかりとした補償を確立した上で、
予防接種を推進すべきだと個人的に思います。
インフルエンザワクチンが義務接種から任意接種になった事で、家庭内感染による高齢者のインフルエンザ由来の死亡数も上昇しています。
同じ轍を踏まないよう改良を重ね、接種自体は続けてほしいものです。
 
 
 
 
(大輪 武司)

2013年6月11日火曜日

信州の秘境

・・・と書くと大げさかもしれませんが、
信州には山深い集落がいくつもあります。


先日の日曜に以前から気になっていた「秋山郷」を目指してみました。
あきやま ごう と書くと何か人の名前みたいではありますが、
平家の落人が逃げ延びてきたという集落です。

なんでも昭和の頃に測量隊が訪れた際、
村人から「源氏はまだ栄えているか?」と尋ねられたという逸話が残っているそうです。
いかにも秘境っぽいですね。



場所は豪雪地帯かつ、先の地震で名が知れた栄村を山ひとつ隔てた東側になります。
長野道飯山IC→R117でいったん新潟県の津南町へ出て、そこからR405で南に向かいます。
途中栄村の道の駅でキノコGET!
姫竹と鯖缶の味噌汁(300円也)でほっこりした後先に向かいます。



まさに酷道な対面一車線の山道をヒヤヒヤしながら20kmほど進みます。
途中で蛇を轢いてしまいました・・・南無・・・・。
豪雪地帯でこの道だと、冬は相当厳しそうですね。

集落に近づくにつれ、きれいに枝打ちされたスギの巨木が増えてきます。
昔からの山里の気配を感じます。福井の永平寺近辺もそんな雰囲気でした。


そして目的に到着。
鳥甲山苗場山への登山口が所々見えます。
谷あいの集落は観光地っぽくなくて素朴です。そしていたるところに温泉が・・・♨


というわけで、念願の小赤沢温泉の楽養館へ。
以前1月にこのブログでも紹介した温泉です。
(cf:http://dairin001.blogspot.jp/2013/01/blog-post_8.html

開放感ある天井高い建物です。
正面が受付かつ食堂かつお土産屋さん。左側への廊下をわたって温泉に向かいます。
温泉成分表を眺めるのは欠かせません。濃いな~~。

さすがに中は撮影できなかったので、気になる方はコチラの画像をどうぞ。

加賀井温泉の一陽館と似たような鉄分の色とほのかなにおいです。そして濃い!
高塩化物泉なのでなめるとしょっぱく、白いタオルはすぐに茶色に・・・
浴室の温度も低めでゆっくりと入っていられます。極楽♪

ついでにお昼に山菜定食を頂き、出発。
後で知りましたが、そのすぐ先に熊ラーメンを出しているお店があるそうです。
気になる方はどうぞ!


帰りは初夏~晩秋までしか通れない奥志賀林道へ通ずる道へトライ。
R405の終点の向こうは、GWに行った野反湖になります。
(cf:http://dairin001.blogspot.jp/2013/05/600.html

途中秋山郷最奥の切明温泉を通過します。
河原を見渡すも、自家製温泉は見当たらず先へ進みます。
高校生の頃、中房温泉近くの川で勝手に温泉作って入っていたことを思い出します。


さらに進むと水の沢大水に。

8月まで雪は解けないようです。谷からの風が冷たくて、骨身にしみます。

その後も林道を走ります。
この辺の植生は白樺やブナなどの広葉樹となり、人里から離れたことを感じます。
奥志賀林道へ出るとすぐ近くがカヤの平なのですが、
逆方向かつ以前訪れた事もあるので今回はスルー。カヤの平はいつかキャンプしてみたいです。

そのまま奥志賀林道→蓮池と緑の中を駆け抜け、
信州中野ICから帰宅となりました(走行距離約400km)。
今更ながら、バイクでのETCって便利ですね~~

(大輪 武司)




2013年6月6日木曜日

医食同源

真夏日が続く毎日です。みなさんバテてはいませんか?
昨日は帰りがけ、どしゃ降りの夕立に襲われてまさに真夏の様相を見せています。


さてさて本題ですが、当薬局の調剤においてメインで処方箋を受けている診療所さんは、
糖尿病を中心に地域の方々を診ていらっしゃいます。
当然ながら薬局にも、糖尿病などの生活習慣病を抱えた方が見えられます。

そういった方がよく言われるのは
「あれも食べちゃダメ、これも食べちゃダメでストレスがたまる。いったい何を食べたらいいのさ!」

この訴えに対し、みなさんならどうお答えしますか?
これは栄養士さんや糖尿病療養指導士の得意分野ですが、薬局においてもよくある訴えです。


①今までの生活習慣が引き起こしたことです。これ以上の悪化を防ぐためにも我慢してください。
②自分の人生なので好きなようにすれば。そのかわり病気は進行しますよ。



うーん、どちらもダメですね。間違いなくお怒りかブロッキングを生じるでしょう。



ではどうしたら良いのか・・・ということですが。
参考までに自分は具体的なメニューを紹介しています。
メーカーなどからもらったいろんなレシピ集もありますしね。
「これは食べられるよ」
「こんなのおいしそうじゃない?」
なんてやりとりをしています。これが正解ってわけではないでしょうが・・・



そんな中自分がお勧めしているのが。
こんにゃくそばたまに自分も食べています。
糸こんにゃくをよく洗うだけでそばになります。簡単かつリーズナブル&ヘルシー。
応用としてこんにゃくラーメンやこんにゃくスパッゲッティもあります。
市販品でもチラホラ見かけますね。

おもにボリュームが足りなくて
不満な方に向いています。

他にも
寒天ゼリー
も甘いものを好まれる方に向いています。
もちろんこんにゃくゼリーでもOKです。

他にも食べる順番や、お米のかわりになるものを紹介したりと色んな方法があります。
皆さんもオススメのヘルシー料理、アイデアがありましたら是非教えてください。自分のダイエットのためにも

(大輪 武司)



2013年6月4日火曜日

疑惑と真相

梅雨空から一転夏の陽気が続いています。
農業に携わる方から悲鳴が聞こえてきますが、お天道様の所業はどうにもなりません。

雨乞いなどの神事が行われる前に、適度に降って安心させて頂きたいものです。


さて、昨今製薬業界を騒がしている一件があります。
新聞やニュースなどでも紹介されていたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが・・・

製薬大手社員、臨床論文に不適切関与 研究の中立に問題

朝日新聞デジタル 5月23日(木)5時2分配信
製薬大手社員、臨床論文に不適切関与 研究の中立に問題
高血圧治療薬の研究をめぐる構図(イメージ)
 【編集委員・浅井文和】製薬大手ノバルティス(本社・スイス)の日本法人は、社員が高血圧治療薬ディオバン(一般名・バルサルタン)の効果を調べる臨床研究に関与しながら、論文には社員の身分を明示しなかったとする社内調査報告をまとめた。データ解析にかかわっていたという。「不適切だった」として、22日に日本医学会などに報告した。中立性が求められる研究が「企業寄りではないか」と疑いの目で見られかねない事態となった。

 報告によると、問題になったのは京都府立医大、東京慈恵会医大、滋賀医大、千葉大、名古屋大がそれぞれ中心となりディオバンを他の薬と比較した五つの医師主導臨床研究の論文。2007~12年に発表された。

 ディオバンは国内売り上げが年間1千億円を超える看板商品。同社はこうした論文を医師向けの説明文などに引用して宣伝してきた。論文に社員の名前が掲載されていたが社員の身分は明記せず、肩書を示す場合は非常勤講師だった「大阪市立大」と記載。滋賀医大に関しては、別の社員1人も社員と明示せずに加わっていた。2人とも現在は同社を退職しているという。
朝日新聞社

元ネタ→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130523-00000005-asahi-soci


この話からすると、結論として「データの信用性が疑わしい」とのことですね。
焦点としては3つあります。
①データの改ざんがあったか
②企業が後押しして、大学の非常勤講師と言う肩書を取得させていたか
③大学側は事態を把握していたのか

①は研究者個人のモラルの問題で、②は組織の問題にあたります。③は両方関わりますかね・・・

推測にすぎませんが、多かれ少なかれ組織的な関与はあったと思われますし、
これがノバルティスに限らないことだとも思います。あくまで推測ですよ(汗

もちろん真摯に研究を行い、データを作成している方もいると思います。
そういった方が報われるようなシステムを作らないと、信頼の回復は難しいでしょう。

研究が中立である・・・・理想ですね。そうなったら良いんですが。
「某先生はこちらの意向に沿った良いデータを出してくれる」なんて噂もチラホラ


何にせよ、今回の事件は氷山の一角であるでしょう。
その温床を断ち切れるかどうか。自浄作用が働くかが今後の見どころだと思います。
そしてディオバンOD錠の発売、売上はどうなるでしょう?

(大輪 武司)